"読書(随筆)"の記事一覧

『入門 山頭火』(町田康)

――――  山頭火は、句の完成は人間の完成によって初めて成る、という意味のことを書いている。金持ちの家に生まれた山頭火は人を見下すことによって、人をぶち壊し、また、自分もぶち壊れる人間の在り方が嫌でそれから脱却しようとしたように思う。そしてマア必ずしもそうなろうと思ってなった訳ではないだろうが、行乞流転の身の上となり、その低い位置から…

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『解禁随筆集』(笙野頼子)

――――  金がない、猫がいる、金に困る、猫は困らない、この繰り返しをしながら二人で手をつないで、襲ってくる経団連、ジョージ・ソロス、自民党リベラルと全部の左系野党からひたすら逃げている、ずっと、ずっと、ふたり、いつまで? いてくれる? ―――― 単行本p.5  シリーズ“笙野頼子を読む!”第143回。 「その…

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『不気味の穴 恐怖が生まれ出るところ』(伊藤潤二)

――――  漫画家の道を志すようになったのは、将来に対する不安。少しドラマチックに言えば、死の予感めいたものがあったからだ。(中略)足元さえおぼつかない暗い道をなんとか歩いてこれたのは、学生時代に夢中になったSF小説やショートショート、特撮映画の数々が、小さな灯台となって私の行く先を照らしてくれたからだ。意味があるからやるのではなく、…

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