『妖精族の娘』(勅使川原三郎、佐東利穂子) 2020年08月31日 勅使川原三郎 ―――― 「もしおまえが魂をもてば、いつか死なねばならんのだぞ。また、なまじ楽の音の意味などを知ると、悲しみの意味をも知ることになる。いまのまま野生のものでいて、死なないほうがずっといい」 小さな野生のものは泣きながら立ち去った。けれど妖精の血を引く仲間たちは、この小さな子をあわれに思った。野生のものには魂がないから、いつまでも悲… 続きを読むread more
『水晶内制度』(笙野頼子)(エトセトラブックス) 2020年08月27日 笙野頼子 ―――― 世界を成立させている水晶は濁り果て曇り、蜜の入った林檎の腐りかけのように匂っている。皮がこちらの視界にめり込んで来そうな、この世界はそれでもひんやりとして、水晶で出来ている。濁った水晶の中に濁った人々が住み、少年のオブジェと女同士で繋がった女達がいる。でもそんな事さえもうどうでもいいのだ。この濁りの中から射す一点の光を待つ… 続きを読むread more
『作者による解説――水晶内制度が復刊した。』(笙野頼子) 2020年08月26日 笙野頼子 ―――― ともかく、「水晶内制度」が復刊した・この復刊自体が海の上に燃える炎、奇跡と言えよう。 ―――― 単行本p.305 シリーズ“笙野頼子を読む!”第132回。 17年ぶりに復刊した『水晶内制度』エトセトラブックス版に収録された35ページの書き下ろし解説です。単行本(エトセトラブックス )出版は2020年… 続きを読むread more