『荒潮』(陳楸帆、中原尚哉:翻訳) 2020年07月27日 その他(SF) ―――― 速度制限を破るのは重罪だ。社会から跡形もなく消される。 しかしいま、米米は大勢の仲間を連れてそのファイアウォールを突破しようとしている。まるでパラシュート一個を頼りに集団で摩天楼の屋上から飛び下りるような行為だ。 青紫のLEDが米米の顔を照らす。宇宙を漂うように神秘的で美しい。 ―――― 単行本p.260 … 続きを読むread more
『リリカル・アンドロイド』(荻原裕幸) 2020年07月22日 その他(小説・詩) 季節感のなか見え隠れする怪しさをとらえた歌集。単行本(書肆侃侃房)出版は2020年4月です。 まずは微妙な怖さを感じさせる作品が印象に残ります。 ―――― 優先順位がたがひに二番であるやうな間柄にて海を見にゆく ―――― ローソンとローソン専用駐車場とに挟まれた場所にひとりで ―――― 自販機のあかりに… 続きを読むread more
『熾火をむなうちにしずめ』(斎藤恵子) 2020年07月21日 その他(小説・詩) ―――― 遮断機の前で衝動を抑える 鉄道草が群生する ―――― 『鉄道草』より なまえのない強い感情が、動植物のすがたをとってあらわれる詩集。単行本(思潮社)出版は2020年4月です。 ―――― きのう見知らぬ町を歩いた ビルの北壁に馬の大腿骨 放熱している ―――― 『見知らぬ町』より … 続きを読むread more