『日本俗信辞典 動物編』(鈴木棠三、カバーイラスト:石黒亜矢子)

――――  本書は、1982年に出版された『日本俗信辞典』の「動物編」を文庫化したものである。この辞典は、動植物にまつわる予兆・占い・禁忌・呪いを中心に、民間療法、自然暦を幅広く収集して分類し、解説を施した初めての試みである。もちろん、伝承の全てを網羅しているわけではないが、動植物に関する俗信の実態を全国的な視野から把握できる辞典とし…

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『政治的動物』(石川義正)より、笙野頼子『居場所もなかった』『金毘羅』等の読み解き

――――  だが、さらに重篤な自己免疫疾患では――「超越論的吐き気」を維持するかわりに――吐き気そのものを吐き出す自己解体にいたる。「その抑えがたい激烈さは、ときによると、ロゴス中心主義的なアナロジーの権威(階層秩序化する権威)を、つまりその同一性を定める権能を、解体してしまうほどの力をふるう」、つまり自己の主権そのものを解体してしま…

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『暇なんかないわ 大切なことを考えるのに忙しくて』(アーシュラ・K・ル=グウィン、谷垣暁美:翻訳)

――――  ル=グウィンの作品のすべてが読者へのギフト(贈り物)だ。そのギフトがよりよい形で残り、読者の心に届くように、とル=グウィンが最後の日々まで、さまざまな心配りをしてくれたことを思うと、私は胸が熱くなる。だがそれと同時に、彼女らしい清々しさも感じて、勇気を分けてもらった気持ちになる。  ル=グウィンは力強い「声」をもっている…

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