『裏世界ピクニック ファイル7 猫の忍者に襲われる』(宮澤伊織)

―――― 「センパイたちは逃げてください。時間を稼ぎます」 「い、いやいや、そんなわけにいかないでしょ……」 「いえ。元はといえば私が巻き込んだわけですし」  たいへん勇ましいけど、いくら空手が強くても、抜き身の刃物を持った猫の忍者たちは恐ろしい脅威だ。忍者二匹に対して、こっちには空手使いが一人……いや、なんだこれ、改めて考える…

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『行き先は特異点 年刊日本SF傑作選』(大森望、日下三蔵、藤井太洋、宮内悠介、上田早夕里)

―――― 実を言うと、編集部からは早い段階で、切りのよい十巻までで打ち止めの可能性を言い渡されていたのである。だが、七冊目の『さよならの儀式』が思ったより売れたこともあり、もう少し続けてもいい、というお許しが出た。少なくとも短篇賞が十回を迎える2018年版までは出すことができそうだ。 ―――― 文庫版p.8  2016年…

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『SFマガジン2017年10月号 オールタイム・ベストSF映画総解説 PART1』

 隔月刊SFマガジン2017年10月号の特集は「オールタイム・ベストSF映画総解説 PART1」でした。また、澤村伊智さんの読み切り短篇が掲載されました。 『翼の折れた金魚』(澤村伊智) ―――― 僕は岳人を助け出そうとプールサイドに足を掛けた。児童の誰かがあっと声を上げる。  岳人と目が合った。  彼の右目は黒い色を…

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