『終わりなき戦火(老人と宇宙6)』(ジョン・スコルジー、内田昌之:翻訳)

―――― 「〈均衡〉はただの楽しみでこんなことをしているわけではない。ニヒリストでもないんだし。なにか意味があるはず。なにか計画があるはず。これはなにかにつながるはず」 「“すべての物事の終わり”につながるんだ。もっとふつうに言うと、コロニー連合とコンクラーベのどちらか、あるいは両方がばらばらになって、このあたりの宙域にいるすべての…

続きを読むread more

『消える村』(小松郁子)

―――― なたねのはなの咲く村から どこをどう 迷ってきてしまったのだろう たそがれになると どこからでもかけかえれる祖父の屋敷が そこには あって 部屋部屋には黄色い灯が はなのように点いていた ―――― 『黄昏』より全文引用 ―――― 屋敷は 高い高い板塀でかこまれていた 黒い板塀の中は ひ…

続きを読むread more

『氷菓とカンタータ』(財部鳥子)

―――― 海を越えて大陸から逃げ帰った 私は   歌のなかに消えそうだ 私の故郷はもう消えたから   合唱する友だちも消えたから     仕方なく猫 猫 好きよ と       つぶやき歌ってみた        まぁるいまぁるい深い穴      猫よ 胡弓を糸が切れるほどに弾いてくれ         ――もうす…

続きを読むread more